屋号 「海石榴(つばき)」

箱根の西南、山懐に抱かれた静かなこの地に生まれた数寄屋造りの小さな宿。
幽遼な奥湯河原の自然を写す池を囲む瀟洒な佇まいのなか、
心尽くしの料理とやわらかいお湯で訪れるひとの心をあたためてきました。

それは、派手ではないけれど可憐な振る舞いで日本人の心を虜にしてきた椿のような存在。
早春の湯河原を飾る美しい彩りの中心であり、椿ラインや椿寺に冠される名前です。

小さな宿は、そんな湯河原に縁深い花木である「椿」の古語、「海石榴」つばきを充て、屋号としました。
併せて、各部屋の呼び名もすべて椿の品種に因んだものとすることで、おもてなしの指針としています。

粋という美意識は、世界中でも日本にしかありません。
さりげなく装う。さりげなく気を遣う。
この「さりげない」が本当に難しいのです。

どうしても料理を美味しいと褒められたい、
気配りが行き届いていて心地良いと言われたいと、
もてなす側の気持ちが前に出てしまうのです。

料理が眼に鮮やかで舌に嬉しいのも、居心地が良いのも、
宿としては当たり前。
自然が美しいのも、お湯が柔らかいのも、当たり前。

帰り際、あるいは旅から戻ってふと思い返したとき、
そういえば、ずっと笑っていたな。
無心で味わうことに集中していたな。
頭を空っぽにしてお湯に身を委ねていたな。
あれは、なぜだったのだろう?

そう思ってもらえるような、当たり前の先にあるおもてなしを
海石榴はいつも探しています。

おもてなし

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